2017年4月23日日曜日

石灰岩のモデル化

石灰岩の支持に関する文献です。

清住真「空洞を有する石灰岩層上基礎の支持力特性」
http://tdl.libra.titech.ac.jp/hkshi/xc/contents/pdf/300246273/1

アカデミックな内容を期待しましたが、残念ながら数値実験で空洞位置と支持力の関係を整理されただけの内容でした。(先日の「地下水流動解析の高度化」の文献を思い出しました。)

石灰岩が空隙を有することは、地質屋さんにとって常識です。
ボーリング調査をしていると、亀裂の溶食、空洞化、流入土砂の充填などに遭遇します。が、断面図に岩線を入れて設計者に渡した段階で、そのイメージは通常の岩盤と同様に受け取られがちになります。設計者が石灰岩を知らない、現物を見ないといった理由だけでなく、地質屋が空洞の規模や配置を全て図示することができないといったこと(力不足)も一因でしょう。

空洞だけならまだ良いのですが、鍾乳洞の天井が落盤・埋没してしまうと、基岩深度に大きな起伏を生じてしまいます。5m程度離れただけで15m程度の落差を生じているケースもありました。さらに、落盤した岩塊が中途半端に残ったままでは、ボーリング深度を誤る可能性も生じます。
結果、上記の文献にもあるように、(特に若い)石灰岩を支持層としない、といったようなローカルルールが生まれるケースも出て来るのでしょう。

問題のウェイトは、空洞への対処法よりも、その位置・規模をモデル化できないことの方がはるかに大きいと思われます。これらを解決するために電気探査や微重力探査などが実施されているようですが、まだまだ経済的な設計に供する精度には追いついていません。おそらく、将来的にも困難ではないかと考えています。

では解決法はないのか?といいますと、あるでしょう。

地球統計学です。
SISIM と計測結果を使うなど、統計学的手法なら解決できると思います(苦手なので、ボヤッとした書き方ですが)。地質屋さんは敗北を喫したようで嫌がるかもしれませんが、現象を再現できるモデル化は可能かと思われます。
ただ、統計処理できる調査数がないとダメですよね。大きな現場でないと難しいでしょうか(小さな現場でも、数掘ればOKなのですけど)。

ま、機会があれば整理してみましょう。



2017年4月22日土曜日

機器の修理

昨年、McSEIS-SX が壊れました。

OSが立ち上がらず、リインストールも不可。プロンプトもままならない状態でした。HDDを換装すれば直るだろう程度に考えていました。古い機械ですので、一抹の不安はありましたが。

修理に出したところ、「HDD故障、在庫なし、修理不可」で帰ってきました。
SXW があるので弾性波は問題ないのですが、PS検層のソフトがこちらにしかありません。故障中は SXW で波を取って処理をしていたのですが、やや手間です。

昨年倉庫にしまった98の在庫がたくさんありますので、何とかなるでしょう、と分解してみました。が、ダメ。特殊な形状のソケットで接続されていますし、ドライブも特注品のようです。もったいないですが、諦めるしかないようです。部品取りに使えるかもしれませんので、寝かせておきますが。


もう一つ。TV のチューナーが壊れてしまいました。

ネットで調べてみると、この機種の病気みたいなもので、100円程度のトランジスターの交換で直るとのこと(直接の原因は設計仕様にあるため、数年たつとまた同じところが壊れるようです)。
メーカーでは修理不可で新機種との交換になるとのこと。1万円以上かかるそうですので、自分で部品交換することにしました。

2mm×3mmのトランジスターに端子が6本出ています。基盤についている壊れたトランジスターをはがし取り、新しいものを取り付けます。非常に細かい作業になるのですが、取引先の方が精密機器用のコテ等一式を貸してくださり、なんとか作業は完了しました。

電源を入れると、復活!直りました。不細工な出来でしたが、嬉しいですね。


PS、エラスト、湧水圧、BTV、LLT 等の古い機械を、部品交換やメーカー修理で使い続けています。それらの修理は現場でも必要に迫られることがあります。動かない、測定できない、で現場を止めるわけには参りません。そのためには機器修理の知識・経験を身に付けておく必要があります。中には失敗する経験も必要でしょう。
また、予備の部品を準備し、修理道具とともに携帯しておく必要があります。状態が良くない場合には、レンタル品を手配しておき複線化の手も打つ場合もあります。

機器を1部品の故障で捨てるのはもったいないですし、ユーザーの能力不足のようにも思えます。今後、壊れていく機器に対し十分な能力をもって「廃棄」と判断できるよう、ユーザー側も努力しないといけないでしょう。

2017年4月16日日曜日

不明瞭な H/V スペクトル

微動 H/V の結果に引っかかっていました。

なぜ綺麗なピークが出ない個所が多いのか?単純に構造物に近い影響?それ以外の原因は?
なぜ、浅めの結果が出たのか?

日本建築学会「建築基礎構造設計のための地盤評価Q&A」には、下記の様な指摘があります。

微動H/Vから地盤の固有周期を評価できる条件
・地盤が概ね水平構造
・H/Vピークがどの地層を基盤層として反映しているかが既知であること。
・基盤層と堆積層のS波速度コントラストが概ね3倍程度以上。

微動H/Vから工学的基盤の傾斜が分かる条件
・傾斜が概ね10度以下(それ以上になると、ピークが不明瞭となる)

上記を勘案すると、今回の現場でピークが綺麗でなかった理由として、まずは岩盤の傾斜が10度以上で不規則であったことが挙げられるでしょう。ま、それはそれで有益な情報です。

もう一つ。深度が浅めに推定された理由として、岩盤直上の玉石層より上位のピークを反映されている可能性が考えられます。が、玉石層より上だけなら水平構造なので、ピークが明瞭でない事と矛盾します。中途半端に複合するのでしょうか?

PS検層結果から レイリー波基本モードの H/V スペクトルを図化できるようですが、私は知識を有しておらずできません。これができると、後者は解決し、もう一歩前進すると思うのですが。クリアーしなければならない課題です。

さらに、不規則地盤の H/V スペクトルと数値解析の逆解析を用いて、2次元S波速度構造を求められるようです。これができると、前者も解決します。課題ですね。

微動結果から支持層深度や傾斜を求めるためには、このような計算・評価手法を身に付けないとなりません。
方針は見えました。あとは己次第でしょうか。
この分野の基礎力のない私には、遠い道のように見えますが、一歩ずつ進めましょう。


2017年4月12日水曜日

簡易揚水試験

先日実施した簡易揚水試験の結果を整理しています。

簡易揚水試験については林野庁「治山技術基準(地すべり防止編)」に記載があります。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/sekou/kizyun/gijutu_kijun.html

実施上の細かな点は、新潟県の仕様書等に書かれています。

新潟県林業土木業務委託標準仕様書
http://www.pref.niigata.lg.jp/rinsei/1289250084702.html
(簡易揚水試験)
第2152条 簡易揚水試験は設計図書又は監督員の指示により掘進中のボーリング孔を使用して行うものとし、一定のボーリング区間ごとに掘進を止めて測定するものとする。
2 試験層厚(試験区間)は、5m毎に行うことを標準とするが、設計図書又は監督員の指示により5m以下で行うことができるものとする。
3 ケーシングパイプは無水掘で挿入し、孔壁に密着させて上層からの水の流入を防ぐものとする。
4 試験区間を5mで行う場合は水位を孔底から6mに保ち、40分間揚水を継続する。ただし、6m以浅の試験孔又は水位が孔底より5m低い場合はこの限りではない。
5 水位回復測定は、揚水後ただちに開始し、水位回復約10cm毎に所要時間を測定し、80分間継続して測定するものとする。
6 試験区間が8m以浅の場合は、ポンプを使用しそれ以深はベーラを使用する。
7 水位測定は電気的な触針式水位計を使用し、測定間隔が密に測定できるものとする。
8 試験の結果は、水位回復曲線を作成し、各区間の透水係数を求め、地質柱状図に揚水量と透水係数を表示して取りまとめるものとする。
この簡易揚水試験ですが、いくつか問題点も指摘されているようです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jls2003/42/5/42_5_421/_pdf

式が統一されていないとのことですが、林野の場合は治山技術基準、それ以外で地盤工学会の揚水試験を準用(Jacob式)になるでしょうか?

揚水試験結果の整理ソフトは、現在の支店にはありません。回復だけならEXCELでもできるでしょう、とネットで探してみたのですが、案外ないですね。ま、全国的には流行っていないということなのでしょう。

海外では USGS のサイトに一式揃っていました。さすがです。
https://nevada.usgs.gov/tech/excelforhydrology/listing_and_description.htm

今回はその中から Pumping_Cooper-Jacob_RECOVERY.xls を使用。単位を自由に選択できるところが良いですね。
これで整理すると、OK。
相応のデータが得られました。


2017年4月11日火曜日

溶存ガスを利用する際の採水

地盤工学会の基準書には、溶存ガスを利用する地下水流動調査における採水の留意点も書かれていました。

中でも、温室効果ガスについては「USGS によって詳しく検討されている」とあります。
覗いてみますと、その通りでした。非常に有用な情報が数多く掲載されています。知らなかったことも多くありました。もう、脱帽。
https://water.usgs.gov/lab/
https://water.usgs.gov/lab/sf6/sampling/tips/index.html

  • Label the bottles with the environmental sample collection time and a sequence number on each bottle in the order it was collected, 1-4 for CFCs, 1-2 for SF6. Results from the lab will list each bottle. The lab will offset the sample times by adding the sequence number to the environmental sample time. Record headers will have to be created for each bottle for entry into NWIS. Bottle #2 collected at 1000 will have results with time 1002.
  • Do not fill and cap the SF6 bottles under water. It is important that water NOT enter the area behind the cone seal in the SF6 cap. The area behind the cone seal allows the water to expand as it warms up to room temperature without breaking the bottle.
  • Store and ship the CFC bottles upside down, and ship them weekly to the CFC lab in Reston, VA; holding times for the CFC and gas samples is limited and they need to get into the sample processing queue. Do not store or ship SF6 bottles upside down.

シーケンス番号で時間を補正するほど精度があるとは思えないのですが。ま、これからは書いておきましょう。CFCs は逆さまで、SF6 はダメというのは、どのような理由なのでしょうか?蓋のシールに関係するのでしょうか?

https://water.usgs.gov/lab/chlorofluorocarbons/sampling/bottles/
CFC sampling photos. Note that outer beaker does not have to be glass. Outer beaker can be glass, metal or plastic.
外側の容器は気にしなくても良いとのことですが、ふたを閉める際に汚染されそうです。やはり、念には念を入れたいところです。


溶存希ガスは、扱ったことがありません。サンプラーに関しては、銅管で両端にコックが付いたものを使うようです。先日のサンプラーですね。レギュレーターがなぜついているのか?と思っていたのですが、圧力調整用のようです。完全に、知識不足です。
http://www.panasiatec.com/sample_cylinder.html


まだまだ知らないことだらけ。地下水調査の質を落とさないよう、もっと基礎知識を身に付けないとなりません。

2017年4月10日月曜日

地下水のトリチウム濃度

地盤工学会の基準書を眺めていますと、「第7編 地下水調査」の最後に、「同位体による地下水の流動調査」について記載があることに気づきました。

恥ずかしながら、ここまで読んだのは初めてです。
基準化には至らない、近年の動向についてまとめられているようです。先日利用した温室効果ガスの利用について触れられていますし、δ18Oの解釈例についても掲載されいます。後者のような利用法があるとは知りませんでした。今後の参考にしましょう。

「(3)評価 a)温暖化ガス」の中に以下の文言があります。
特に近年では降水中のトリチウム濃度が低下しており、トリチウムによる定量的な滞留時間の評価が困難となってきているため、トリチウムと同程度の滞留時間を評価できる方法として期待されている。
トリチウムが使えなくなってきていることは、数年前に書き残しています。
https://phreeqc.blogspot.jp/2011/06/dating-of-groundwater.html?m=0

理由として、この文献の図が分かりやすいと思います。
Plummer, L.N., Böhkle, J.K., and Busenberg, Eurybiades, 2003, Approaches for ground-water dating, in Lindsey, B.D., Phillips, S.W., Donnelly, C.A., Speiran, G.K., Plummer, L.N., Böhlke, J.K.,
Focazio, M.J., Burton, W.C., and Busenberg, Eurybiades, Residence times and nitrate transport in ground water discharging to streams in the Chesapeake Bay Watershed: U.S. Geological Survey Water-Resources Investigations Report 03-4035, p. 12-24.
https://water.usgs.gov/lab/chlorofluorocarbons/research/chesapeake/gwdating.pdf

トリチウム濃度については、福島の原発事故でどうなったかな?と気になっていたところですが、調べてみると↓にありました。変化ないですね。
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Top2/849/123/H26nenpou2,0.pdf


トリチウムに替わるのが温室効果ガス。
自然の地下水流動を守るために、ヒトの汚染物質を利用するというのは、なんとも皮肉なものです。

2017年4月9日日曜日

支持層確認のための微動探査

3月の残務も終わり、さあ休もうか!といったところで、お呼びがかかりました。

現場で基礎杭を打っていたところ、予定より深く掘削しても岩盤(支持層)が出てこないとのこと。
事前調査は他社さんですが、すぐに現地を確認し、ボーリングを段取り。この時期で良かった。

で、思いついたのがコチラ↓支持層深度の変化を微動探査で推定するアイデアです。
https://phreeqc.blogspot.jp/2015/12/blog-post.html
(残念ながら?)日曜日の全休日に探査をはめ込むことができてしまったので、実施してきました。

得られたデータはあまり綺麗とは言えませんでしたが、結果は長周期領域と短周期領域に綺麗に分かれました。既設構造物に近いか遠いかで別れているようにも見えますが、基盤深度の反映であれば面白いと思います。
S波速度と1/4波長則で求めた基盤深度は、事前調査で確認されていた深度より浅目になりました。まだまだ考えないといけないところがあるようです。

正解はすぐに得られます。チェック・修正し、次の基礎に備えましょう。
今後、このように困っている方々の役にたつ手法にまでたどり着けると良いですね。