2011年6月18日土曜日

切土・盛土と三笠の一般全応力法

道路土工の切土工・斜面安定工指針では、切土斜面の強度設定としてCUB試験が挙げられています(p401)。改訂前も同じ表が掲載されていましたね。

斜面を切る場合、粘性土であれば長期安定が問題となります。CUB試験では、時間とともに吸水膨張(あるいは非排水膨張)し、強度低下が起こる場合の安全側のcφを試験で求めることができます。
逆に盛土では、短期問題としてUUを挙げている教科書や基準書が多いのですが、同指針ではCUBになっています。
これらの条件を整理すると、実務上、三笠の一般全応力法で安全側のc・φを決めることができます。基準書や土質力学の教科書にも載っている場合がありますので、古い手法なのでしょう。
http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels&lang=jp&type=pdf&id=ART0005447927

今回、道路盛土(粘性土)を掘削するということでCUB、その後さらに盛り立てる計画があるということでUUの両方を試験しないといけないと思い、両方やった事例があるかどうかexecutive達に確認したところ、「粘土は一軸かUUでしょ」という意見が圧倒的でした。その方たちに、なぜUUだけでCUBをしなかったのか聞いてみると、「粘土だから」といったよくわからない理由でした。なお、こだわりの部長様だけがCUBを実施されているといった結果。しかも、せん断前に一度圧密してから減圧膨張させるといったこだわりがありました(感服です)。

確かに、粘土のCUBは時間がかかるし価格も他の土質試験に比べ非常に高いのでお客様が嫌がります。急ぎの仕事が多いのも一つの原因でしょう(急ぎでない仕事って少ないですよね)。それに試験時に切土後の小さな側圧を設定することも工夫が必要ですし、UUをやるとなるとサンプルも2倍必要になります。全体的に面倒なので避けたがる傾向があるのかもしれません。
ただ、粘土=c材料といった先入観だけは避けたいところですね。

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