2011年6月28日火曜日

ミニラムの換算N値

応用地質製のミニラムは小型動的コーン貫入試験に用いられる装置で、サウンディングに分類されます。
http://www.oyo.jp/product/11-in-situ/miniram.html

簡易動的コーン貫入試験で対応できない硬い地盤でも比較的入ります。
スウェーデン、簡易貫入、ミニラムの3セットでほとんどの地盤に対応できますから、重宝しています。昨年の地盤工学会だったかどうか忘れましたが、先端に間隙水圧計をつけたオプションの開発を発表されていました。早く発売してほしいですね。

ミニラムは換算N値も出ます。砂質土でN値の倍の打撃回数になるとアナウンスされています。しかし、実測N値よりも小さくなることが多々あります。本当に20cm当たりの打撃回数で良いのか?(30cmじゃないのか?)、本当に貫入エネルギーは1/2になっているのか?ということに疑問を持ち、調べてみました。

HPやカタログでは、以下の貫入エネルギーの式が掲載されています。地盤工学会「地盤調査の方法と解説」にも出ている式です。

Rd=(MgH/A)×(N/D’)

「ミニラムは上式を基に同一地盤においてはその打撃回数が標準貫入試験(SPT)の2倍となるように設計されています。」とHPでアナウンスされています。
断面積や高さはわかるので、実際に入力して計算してみました。
しかし、どうやってもミニラムがSPTの1/2の貫入エネルギーになりません。SPTサンプラーの外形だけでもダメ、外径から内径を引いてもダメ、20cmを30cmに変えてもダメです。

仕方がないので応用の筑波の研究所に問い合わせたところ、「SPTとミニラムの比較は上式ではやっていない」とのこと。また、「ラムサウンディング試験の結果と比較した経験式であり、上式は使っていないだろう」とおっしゃいます。よくわかりませんでした。

もしやと思ってラムサウンディングとミニラムの貫入エネルギーを上式で比較したところ、ばっちり1/2でした。つまり、以下の2つの経験式・換算式を利用しているということです。

経験式 : N値 ≒ ラムの打撃回数(20cm当り)
貫入エネルギーによる換算式 : ラムの打撃回数 = ミニラム打撃回数の1/2

雑なようですが、案外こんなものです。簡易貫入から換算N値を出す時も、簡易貫入とスウェーデン、スウェーデンとN値の関係式が用いられている場合があります。換算式の精度には注意が必要ということでしょう。

HPにミニラムの整理用ワークブックをUPしておきました。DXF変換のVBAは簡易貫入を少し変えただけです。EXCEL2007以上で御使用ください。
https://sites.google.com/site/geochemist001/resources/miniramu

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