2011年10月2日日曜日

孔内水平載荷試験結果の解釈と利用

孔内水平載荷試験について引っかかっていたことがありました。

処女載荷の勾配は必ず繰り返し載荷より緩くなります。
ひずみレベルの差として解釈していましたが、前者より同じレベルの区間を取りだして見ても勾配に差があることに違和感がありました。また、繰り返し載荷と同じ勾配が処女載荷に一度も出てこないことも引っかかっていました。
ひょっとするとこれは弾塑性状態にあるのではないか?早々に降伏し、ひずみ硬化の状態にあるのではないか?などと考えたのが数ヶ月前。ちょうど連続体力学や構成則を追っかけていた頃です。

先日の講習会で、引っかかっていた点を講師の方に質問してみました。
回答は、弾塑性状態でOK、押し込んでいるので繰り返し載荷時は勾配が立つとのことでした。ひずみレベルよりは解釈しやすい御回答です。それが実際に起きている現象なのかどうかはまだ分かりません。岩盤の場合はどうなのか?他の問題や扱うスケールとの関連性は?など、まだ完全に理解できていませんので、今後ゆっくり考えて行きましょう。

また、どちらで導いた変形係数を使うかは、扱う問題によって(答えを想定し)使い分けることが重要とのことです。その通りだと思います。基本的に、土砂の孔内水平載荷試験結果の解釈については割り切っています。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/01/blog-post_08.html
弾塑性状態から弾性の変形係数を求めているのなら、更なる割り切りが必要になります。割り切った上で「適度な」答えを導けるようになるべきなのかもしれません。

いずれにしても、FEMで変形量を求める場合には、c、φ、ψ、E、νなど、全て工学的(経験上の)判断が重要になるということです。純粋に、精密な試験を行って得られた値を入力すれば、答えの精度が高まるといったものではないのです。
こうなると、経験豊富なベテラン技術者の方が、数値解析に向いているような気がします。
あ、だから、ベテラン技術者はシンプルなツールで答えを出そうとするのか、答えがある程度見えているから。答えが見えない、予測のつかない問題は、シンプルであろうが複雑なツールであろうが、難しいということでしょう。答えを出すのはFEMではなく、技術者ということです。

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