2012年10月21日日曜日

分業と品質

BTV を自分で測定する方が少なくなりました。

いえ、BTVに限らず、孔内試験をオペさん任せにする方が増えています。システマティックに処理する方法を否定するわけではありませんが、そういう流れになっているようです。

上がったコアを見てすぐに物事(サンプリングや測定深度、区間、荷重ステップ、制御方法など)を決めていかないと、欲しい所でデータが取れません。自然は私の理解を常に超えていますので、コアを見ながら刻々頭の中でモデルを更新し、説明しやすい位置を決めて試験をすべきだと思います。ま、そんなことは見なくてもできるという方もいらっしゃるのかもしれませんが。
オペさんとに知恵を借りながら試験をするのが好きですし、判断が容易なら、オペさんの休みの間に試験をしてしまうことで負担をかけたくないという思いもあります。

先日も、朝、先輩オペさんが来るまでに BTV をやりきって待っていました。
で、来られたオペさんと話をして愕然。他支店では(正確には、ほぼ私以外では)、BTV 作業はすべてオペさんにお任せのようでした。しかも、データ処理はパートさん任せの方が多いようです。シュミット上の亀裂の分類はどうするのでしょう?露頭との比較は?
露頭を見て、コアを見て、画像を比較しながら、せん断亀裂や断層の延伸方向を決めるとか、変質帯の方向を推定するといったことは、殆ど実施されないようです。それらの比較が重要ですし、そこに技術者としての主張、BTV を手段として使用する目的があると思うのですけど。
ひどい方は、コア観察を他人に任せる事があるようです。地質屋さんはコアや孔内試験にこだわりのある方が多いように思っていたのですが、そうでもなかったようです。案外、他社でも分業制、流れ作業が出来上がっているのかもしれません。

それらが同じ対価になるのであれば、短期的には流れ作業の方が確実に利益が上がります。地質のような分かり難いものの場合、ある一定の(=平均的な)品質さえ満たせば、対価は頂けるのです。利益の面から考えると、全体のレベルが上がらなければ、時間とお金をかけて平均以上に上げる必要はないことになります。サラリーマンと技術者の良心の狭間で、現在の不況を背景に妥協点を考えると、業界全体そのような所に落ち着いているのかもしれません。

しかし、手を抜き続けると、次第にカンが鈍ると思います。上手く言えませんが、何かが抜けていくように思うのです。
ノルマ(利益)は確保しつつ、泳げる範囲で手と体は動かし続けましょう。

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