2015年2月24日火曜日

斜面崩壊のエネルギー

Hi-net などで観測される深層崩壊や土石流の波形から、幾つかの処理を得て Energy Parameter を算出することがあります。

この Energy Parameter 、文献での定義は明確なのですが、実現象として何を意味しているのかよくわかりません。いえ、崩壊を起振エネルギーとし、距離減衰などを踏まえた値ということは何となくわかるのですが、それ以上でも、それ以下でもありません。で、そこから先に進めません。

先輩と雑談しながら、先に進むために使えそうなデータを思いつくまま挙げていったのですが、どれも手を動かすには至らないレベルのモノでした。
せめて、崩壊時に発するエネルギーを定量的に示せないか?と考えていた時、ふと思い出したのが、以下の図書。

國生剛治「地震地盤動力学の基礎 エネルギー的視点を含めて」

斜面崩壊をエネルギーの視点から説明されている章があります。以前は読み飛ばしていた箇所です。やはり、同じようなことを考えている方は既にいらっしゃるのですね。

この図書では、Ep:土塊の位置エネルギー、Eeq:地震波動エネルギー、Edp:内部損失エネルギー、Ek:運動エネルギーの4つのバランスで地震時の斜面崩壊と土塊の移動を説明されています。

私が知りたいのは地震時でなく、常時です。常時の斜面崩壊ではEeq=0ですので、土塊が移動して停止した場合の位置エネルギーの差分が⊿Ep=Edpということになるのでしょう。
が、この図書では内部損失=摩擦面での消費というように捉えられています。個人的には、LSFLOW と、先のEnergy Parameter の話が頭にありますので、移動中の変形・抵抗に使われる土塊内部でのφmによる消費と、基盤へ与えるエネルギーとしての摩擦面φsによる消費(=Edp)を分けるべきかと考えます。そう考えないと、Energy Parameter とは?に結びつかないというのもありますが。
余談ですが、φsとφmが一定の関係になるのは、上記⊿Epの関連を考えると当然なのでしょうね。φmを崩壊前の斜面角度や崩土の安息角に関連付けると、基盤への放出エネルギー(のようなもの)を求められそうですね。

まだまだ、定量的な話には結び付きません。先は長そうです。


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20150227追記

LSFLOW でのエネルギー消費概念図は土研資料のp34にあります。
ただ、内部消費φmがなぜφsと同じ形(p3)なのか、いまだに疑問です。柱状要素を前提に考えているから積分していないのだろうとは思いますが、同じ形で良いとも思えません。
割り切りでしょうね。

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