2015年12月31日木曜日

河床礫の長軸と流向

昨晩の続きです(内容で分けました。)
(青野宏美「地質のフィールド解析法」近未来社, 2010, §2)

次に驚いたのが、河床礫の向き。
長軸が流向に直交するそうです。コロコロ転がって留まるため。言われてみれば、納得です。
今まで、多くの河床を見ていましたが、礫の大きさや固さは気にしていたものの、長短の向きは全く眼中に入っていませんでした。稀に古流向を推定する場合でも、斜交層理しか気にしていませんでした。これからは、礫層の長短方向も意識しておきましょう。


捻り鎌

夜になって、ようやく落ち着きました。

この休みに読んでおこうと購入しておいた図書を読み始めました。
青野宏美「地質のフィールド解析法」近未来社, 2010
この本、今まで何度か眺めていたのですが、(残念ながら)実務に差し迫って必要とされなくなってしまった地質専門の話です。必要な知識なのですが、こういった余裕のある時にしか読めません。ゆっくり読みましょう。

最初に驚いたのが、「捻り鎌」。
恥ずかしながら、私は今年初めて使用したツールです。土砂露頭を剥いで観察するにはちょうど良く、今年は現場でかなり役立ちました。もう手放せません。
この「捻り鎌」を地質分野に持ち込まれた方が、日本人だそうです。しかも、使われだしてまだ30年程度。驚きました。ココまで普及しているので、もっと以前に海外から伝わったのかと思っていました。
 
踏査では岩盤を相手にマッピングすることが多いのですが、土砂の構造や、詳細な観察を必要とする場合もあります。まだまだ知らないことが多い様です。


2015年12月30日水曜日

地磁気の逆転

今日は大掃除。
私用も挟みつつ、(やはり終わらなかった)メール対応を片付けつつですので、大掃除はまだ終わっていませんが、目途は立ちました。


夜になって落ち着いたので、録画していた「ザ・コア」を見ることに。
この映画、気が付けば14年前の作品。当時、鳥が窓にぶつかる予告編で、「地磁気の逆転時を話題にしたものか!他には何が起こるの?」と非常い興味をそそられておりました。が、そのままでした。今日まで何度も放送されていたようですが。

残念ながら地磁気の逆転の話ではなかったですね。違和感を抑えながら見ていたのですが、途中、地下1100kmにメキシコのナイカ鉱山を彷彿とさせる(実際見たことはありませんが)水晶の洞窟が出現し、あきらめがつきました。そこからはSFとして楽しむことに。

そういえば千葉県市原市の露頭は GSSP に認定されたのでしょうか?
調べてみましたが、まだ更新されていません。
http://www.stratigraphy.org/index.php/ics-gssps
決定は来年の夏のようです。
http://www.nipr.ac.jp/info/notice/20150520.html
若い地質でしょうから、GSSP に認定されなくても、露頭の保存対策や環境整備には万全を期してほしいところです。


地磁気逆転時には何が起こるのでしょうか?なぜ逆転するのか、どのくらいかかるのかも知りたいところです。
逆転現象は生きているうちに見ることができなくても、その理由の一端は知りたいですね。


2015年12月28日月曜日

3日遅れ?の仕事納め

今年はロスタイムが3日間あって、今日が(おそらく)本当の仕事納め。結果的には世間の仕事納めと変わらず、少しお得な感もあり。

振り返ってみると、今年は流されてしまったような気がしますね。
やり残し事項は、ほぼ残ったままです。短期目標は数点クリアーしましたが、長期目標である「現場での経験」を積んだかと言うと、納得できるほどでもない。技術力が付いたかと言うと、そうでもない。知識・経験共にイマイチ進歩のなかった1年だったように思えます。

「今年は○○を実施した!」と胸を張って言えるものはないのですが、あえて言うなら3次元の取り扱いが多かった様に思われます。
シミュレーションや可視化は勿論ですが、港湾、道路、廃棄物、橋梁など、基本的には3次元ベースで地質分布等を取り扱いました。ボーリングが平面上に複数ある場合には、結果的に間違えず、短時間で正解にたどり着くことができます(相変わらず、2次元で作成された方のミスを修正し続けていますので、2次元にはなかなか戻れません)。
CAD屋さんではないのですが、CADに触れる時間も多かったように思います。腱鞘炎になるくらいですから。

来年こそ、もっと身になることに携わりたいものです。
このフラストレーションを良い方向に活かせるよう、努力しましょう。

2015年12月27日日曜日

点群データの活用 その2

先日の先輩のお手伝いで気付いた点があります。

UAV + SfM 手法で作られた点群データですが、航測LPのように広域ではないため、グリッド化せず、間引きもせず、全データを使用してサーフェスを作成していました。それから断面を切って2次元安定計算に供したのですが、これ、そのままでは使えません。断面地形のポリラインの頂点が多数あるため、そのまま読み込めば安定計算のスライスが異常に多くなってしまうのです。

ポリラインの頂点が2000個、計算に必要な最小限の部分だけ抜き出しても1000個になります。PCで10個ピッチ&機械的に抜き出し100個にすることは容易なのですが、それでは地形の折れ点が飛んでしまう可能性があります。
一方、従来の実測図は現場で変化点を抽出した「モデル」といえます。取り扱いやすい反面、地形を抽出する技術者の力量に大きく依存します。(たとえ仕様・規定を満たしていてもです)。簡素化・モデル化をいつするか、だけの違いしょうか。

結論から言えば、現段階では人が断面地形をトレースするのがBESTです。たったこれだけですので、問題といえないかもしれません。
ただ、いずれは2次微分などのフィルターを通して、地形の折れ点を抽出する機能を3次元段階で実装し、必要な情報を保存しつつ軽くできるようになるのでしょう。ノウハウは必要になるでしょうが、そう難しい理屈ではありません。現段階でも地形差を用いて間引いてますからね。

UAV + SfM から対策検討までといった流れは、今後、時間的制約のある斜面災害などで多く求められそうです。時間内に対応できるよう、ある程度、備えておくべきでしょう。

2015年12月26日土曜日

Hyper KANAKOの制限

先週より、「KANAKOが動かない」と後輩に言われておりました。

先輩のお手伝いが終わり、今度は後輩の番。私もHyper KANAKO に詳しいわけではないのですが、待たせた分、答えを出さねばなりません。できれば短時間で。

まずは何が動かないかの検証です。
後輩の作ったモデルはハイドロが数日、1次元が数km、天然ダム多数、といった予想よりかなり大きなものでした。おそらくモデルの大きさ、確保したメモリ−関連で「動かない」と言うのでしょう(このような時、ソースを確認できない点はネックです)。

問題を切り分けるため、LPデータはそのまま、1次元、2次元範囲は縮小、ハイドロはデフォルト、定数や計算条件もデフォルトに戻して計算。結果、うまく流れます。

次に天然ダムを1つ入れて計算。これも決壊し、流下します。

次にハイドロを数日、計算時間を 50000秒に設定。で、ここで OUT。計算途中でエラーが出て最後まで計算しません。ハイドロの土砂濃度を低くし、流れやすい設定に変えてもダメ。同じ時間で止まります。

刻みを 0.01秒から 0.1秒に変更すればその 10倍の時間まで計算します。これは1次元・2次元の計算領域、回数、確保したメモリー、書きだすファイルの大きさなどの制約だろうと踏んで、領域を変えてみることに。

結果、2次元領域を変えても変化なし。
一方、1次元領域を2.5倍にすると、計算が止まる時間が約1/2.5に減りました。1次元の計算は5mピッチ固定なのですが、これを手入力で 50m にしてやると、計算が止まるまでの時間は 10倍に増えました。ファイル書き出しを含む1次元の計算に制約があるようです。

対応としては、開発元である大学の先生に問題を報告・確認し、1次元の制約であれば改良を申し入れるというのがBESTです。が、すでに冬休みでしょう。
対処療法ですが、1次元の範囲を可能な限り狭く、1次元の仮定を逸脱しないピッチと刻みを使って制限内に収めて乗り切る、といったところでしょうか。「制限」は、そのモデルでのアタリ計算からある程度導けるでしょう。

ま、これで先輩、後輩のお手伝いは終わり。答えも出せて一安心。
次は、自分の番です。


点群データの活用

会社の営業は既に終了しているのですが、例年通り実際の仕事納めはまだ先です。

私は(休みだと伝えていたのですが)28日に打ち合わせ予定。その準備に昨日まで追われていました。作業自体はサービスなので優先度は低いのですが、期日が迫っているため、本来実施予定の代金をいただいている仕事を後回し。
先輩も同じような状態。(休みだと伝えているにもかかわらず)終了日の夜にデータを受け取ってしまい、契約前にいろいろ検討されていました。ま、サービス業なので仕方ありません。

先輩の作業が緊急であったため手伝っていたのですが、少し驚くことがありました。
受け取ったデータが点群データ。UAV+SfMで作成されたようです。このデータから断面を切って検討する流れなのですが、点群のみを送付されたのは初めてでした。つい1年前は「今後の展開が楽しみ」などと呑気なことを言っておりましたが、既に対策検討までを念頭に、データが取られ、作られ、授受されるまでになっていたようです。
http://phreeqc.blogspot.jp/2014/10/uav.html

XYZRGBのデータでしたので、基本的にはどのようなソフトでも読み込むだけで可視化できます。作業後にReCapで読み込んで眺めていたのですが、それを見た先輩、「断面を切った位置を一緒に表示してほしい」と一言。その発想はありませんでした。断面線を3Dポリラインにして点群と表示すれば良いだけです。
早速試してみたところ、なかなか良い感じ。グリグリ回しながら、「これはスタンダードになる」と感じておりました。

UAV+SfM による測量は、現段階で公共測量作業規程に含まれていません。そのため測量業務としては発注されていませんが、ダムなどの調査や災害時・緊急時には需要があります。国土地理院さんで検討を進められているようですので、次の改訂には注目しておきましょう。

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20160409
国交省さんよりUAVを用いた公共測量マニュアル(案)が出ました。
http://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/uav/index.html

ボーリング調査深度 NEXCO

先日、国土交通省関連の支持層の考え方や、ボーリングでの確認深度について整理しました。
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/12/blog-post_6.html
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/12/blog-post_38.html

もう一つ、NEXCOさんの考え方もよく利用しています。
以下は、NEXCO「土質地質調査要領」H24.7の関連個所を整理したものです。図書では調査段階に応じた調査内容が詳細に記載・区分されていますので、下表だけではカバーできません。が、辿るきっかけにはなると思います。

斜面(切土・地すべり)

盛土(軟弱地盤の定義を含む)


橋梁
トンネル

2015年12月16日水曜日

微動と支持層コンター図?


事前調査によって、支持層分布を経済的かつ面的に把握するにはどのようにすれば良いか?という課題は、解決すべきまま残っています。

橋梁基礎の傾斜問題は記憶に新しいところです。2か月前の建築杭基礎問題なども関係しているでしょう。
各種構造物において支持層を面的に把握するためには、ボーリング調査が必要です。中央で1本か対角で2本、規模が大きければ数本といった例が多いと思います。1本では傾斜がつかめませんので、サウンディングで補足する場合もあります。が、途中の礫打ちで、貫入不能、支持層未達になる場合も多々あります。表面波探査まで実施させて頂ける例はレアですし、深くなれば届きません。

ふと、思いついたのですが、こういうのはどうでしょうか?
①常時微動を計画基礎内でメッシュ状に実施する。
②H/Vスペクトル比のピーク周期を平面上にプロットし、コンター図を作成する。
③最低限、周期の最も大きな箇所(=支持層が深いor周囲に比べ軟弱な箇所)、できればそれを含む複数個所でボーリングを計画・実施。
④(これはおまけですが)ボーリング調査で確認した支持層深度=Hとみなし、支持層深度を求めるための仮の速度Vを算出し、周期コンター図を支持層深度コンター図に変換。

④については、工学的基盤面でないため2枚舌になってしまいます。が、実務では役立つ可能性があります。①②③については、経済的かつ測定・移動の容易な常時微動を効果的に利用すれば良いと考えた結果です。ボーリング位置を各種条件面で固定し、実施中に①②④を流すのも手かもしれません。
また、ピークが軟弱層の存在を示唆していた場合でも、それは1次調査として価値があると考えられます。
 
ま、いずれにしても現状維持では進展が望めません。何か手を動かさないといけないでしょう。


2015年12月8日火曜日

力学的エネルギー

LS-RAPID や LSFLOW などの土砂移動の計算コードでは、運動方程式や質量保存の考え方、土砂の位置・運動エネルギーの変化などが支配方程式を構成するための根底にあります。また、外部へ放出されるエネルギーも、energy parameter との比較を行う上で必要になってくるものと考えます(まだそこまでたどり着いていません)。

この「運動方程式」や「力学的エネルギー」については、高校初期の物理の範疇です。計算コードは複雑に見えますが、この基礎物理をアレンジしているだけのことです。
以下、高校基礎レベルでの、「運動」「力学的エネルギー」「仕事」に関する記載の整理です。

運動方程式(F:力 [N=kg・m/s^2] 、m:質量[kg]、a:加速度[m/s^2])

F= ma

静止摩擦力(F0:静止摩擦力 [N] 、μ:静止摩擦係数、N:垂直抗力[N])

F0=μN

動摩擦力(F':動摩擦力 [N] 、μ':動摩擦係数、N:垂直抗力[N])

F'=μ'N

仕事(W:仕事 [J=N・m] 、F:力 [N]、x:距離[m])

W=Fx

仕事率(P:仕事率 [W=J/s]、W:仕事 [J] 、t:時間[s])

P=W/t

運動エネルギー(運動エネルギー [J=kg・m2/s2=N・m] 、m:質量[kg]、v:速度[m/s])

K=1/2mv^2


位置エネルギー(U:位置エネルギー [J] 、m:質量[kg]、g:重力加速度[m/s^2]、h:高さ[m])

U=mgh

ばねによる位置エネルギー(U:位置エネルギー [J] 、k:バネ定数[N/m]、x:距離[m])

U=1/2kx^2

2点間の仕事(エネルギーの変化)

W=K2-K1
W=U2-U1

エネルギー保存(E:力学的エネルギー[J])

E=K+U・・・一定
K1+U1=K2+U2


熱力のエネルギーについては、また今度。

2015年12月6日日曜日

ボーリング調査での確認深度

支持層以外でも、ボーリングで確認する深度は調査対象によりある程度決まっています。
支持層はコチラ→ http://phreeqc.blogspot.jp/2015/12/blog-post_6.html

・切土、トンネル
基本的には掘削面とその下位の状況(主に力学)を確認することがボーリングの目的となります。通常の切土では、北陸地整さんのように、3m毎に1回の簡易揚水試験を実施することは、あまりないですね。掘進時水位記録として、作業後に孔内水を汲み上げる程度です。アンカーが入りそうな場合はその深度まで(北陸地整さんの通り)なのですが、踏査で下部に軟岩が出てくる場合はそこまで確認したいところです(本設アンカーの定着)。
トンネルの水平ボーリングは NEXCO さんの方が長くなっています。これは北陸地整さんがうまくまとめられています。http://phreeqc.blogspot.fr/2015/12/blog-post_5.html


・ため池・河川 
こちらは力学も確認しますが、どちらかと言うと透水性(水理)の確認が主体でしょうか。
どちらも、基礎地盤までの透水性を確認し、危険であれば対策を計画するという流れになります。
ため池では今年の7月に新しい指針が出ましたが、まだ業務で扱っていないため未確認です。下表は昨年度までの改定案(古い基準と変更なし)を示しています。


ため池・河川は、ほぼ決まり通りに進めても問題ありませんが、切土は出てきた地盤に応じ刻々と判断が求められます。支持層にしても、薄層支持で終えそうなのか?さらに掘り進むのか?など、ボーリング1m毎に得られる自然に応じ、判断しなければなりません。指針のルールはあっても、現場は結構忙しくなります。

支持層の考え方

今年話題となった、支持層の考え方について整理しておきましょう。

構造物を設計する際に、ある地盤条件を満たした場合にその構造物の「支持層」として取り扱います。軽いものは、それなりの層で支えると良いのですが、大きな物、重いもの、重要なものはしっかりとした地盤で支えることが必要です。物によって支持層に該当する条件が、変わるということです。調査時は、 その条件がどこにあるかを確認するといった流れです。当然、該当層がでなければ、出ないなりの設計になります。

「支持層」となり得る条件は設計対象によって変わりますし、分布深度によっても(基礎形式が変わるので)変わります。北陸地整さんのように地域や県によって決め事を作られている場合もありますし、NEXCO さんのように 自前の要領を出されている会社もあります。
以下は代表的な指針(道路・港湾・建築)による支持層に関する記載を(個人的な判断も含めて)整理したものです。基本的には、5m以上確認ですね。

 
最近は、工学的基盤も併せて検討する場合が増え、直接基礎・杭基礎と併せて調査深度を判断する必要が出てきました。実務上は、上記指針などに示された「基本ルール」を踏まえつつ、多様な自然とお客様の意向、経済的な条件などに対応・最適化しなければなりません。

2015年12月5日土曜日

北陸地整 地質調査の手引き(案)

北陸地整の設計要領(道路編)には、地質調査の手引き(案)が含まれています。

設計要領(道路編)平成24年4月改訂版(平成25年4月一部改定)
http://www.hrr.mlit.go.jp/gijyutu/kijyun.html#sekkeiyouryou
http://www.hrr.mlit.go.jp/gijyutu/kaitei/sekkei_r/index.htm
第16章  地質調査の手引き(案)
http://www.hrr.mlit.go.jp/gijyutu/kaitei/sekkei_r/pdf/16.pdf

ノウハウや感覚で決めていた事項、説明を求められる箇所が適度に決められ記載されていますので、有用です。ポイントは以下の通り。
  • ボーリングはオールコア、サンプリング・孔内水平載荷試験は別孔
  • 原位置試験から30cm以上離してサンプリング
  • 支持層は5m以上確認
  • 孔内水平載荷試験は3~10m以内に3回
  • 地表に軟弱な粘性土が分布する場合は地表から3m以内で1 回サンプリング

以下、抜粋です。 ====================================================
 
16-1総則
  • 地層確認用ボーリングはコアボーリング、サンプリング用の別孔はノンコアボーリングを標準
  • 各種の原位置試験を行った箇所の下でサンプリングする場合は、それらの試験による孔底付近の乱れを避ける目的で試験最終深度より 30 ㎝以上再掘進を行う。
16-2道路設計
1.予備設計
(1)軟弱地盤上の盛土
  • 標準貫入試験を併用したφ66 ㎜のコアボーリングを標準。
  • 支持層(N値50以上)に達してから、層厚を最低5m(標準貫入試験で6回)確認。(盛土だけでN値50確認はレアですね。)
  • サンプリングの回数は、層厚3m程度に1回を標準。層厚が1m程度と薄い場合でも、盛土の安定や沈下に影響すると考えられる場合、サンプリング実施。
  • サンプリング用のボーリングは、地層確認のボーリングに併設(1~2m位離す)して行うこととし、コアの採取は必要としない。これまでは、地層確認のボーリング孔を利用してサンプリングを行うことが多かったが、採取した い地層の分布が正確に把握されていない段階でのサンプリングは、層厚が薄い場合等で必要な試料が得られないこと があった。
(2)斜面崩壊の危険性のある地山の切土
  • 地層確認を行う場合は、標準貫入試験を併用したφ66 ㎜のコアボーリングを標準。
  • 切土したのり面が地下水の影響で崩壊する危険性がある。→簡易揚水試験を深度3m毎に1回
  • 長大切土斜面(切土高 20m以上)など→弾性波探査実施。
  • 調査深度は、計画路床下3m程度
2.詳細設計
(1)軟弱地盤上の盛土
  • 「予備設計の調査」に準ずる。
(2) 函渠、擁壁の土工部(構造物箇所)
  • 「軟弱地盤における盛土の調査」に準ずる。
  • 支持地盤が地表部に現われている所→平板載荷試験を実施。
  • 軟弱地盤の擁壁計画位置→サンプリング孔で、孔内水平載荷試験を行うことを標準。孔内水平載荷試験は、「橋梁設計のための調査」に準ずる。
16-3橋梁設計
  • 調査深度は、支持層(N値 50 以上)に達してから層厚を最低5m(標準貫入試験で6回)を標準。支持層は、一般に砂層でN値 30 以上、粘性土でN値 20 以上とされているが、ここではN値 50 以上の基盤層の確認を標準とする。
  • サンプリング用のボーリングは、ボーリング位置から1~2m離した別孔で行うことを標準
  • サンプリング頻度は、軟弱層全層で各層または深度3~5m毎に1回地表に軟弱な粘性土が分布する場合は地表から3m以内で1 回
  • 孔内水平載荷試験は、サンプリング孔内で、深度3~10m間で3回を標準とする。平均的な変形係数を求める意味と杭の水平抵抗に支配的な地盤の深さが地表面から1/β程度のため。1/βは一般に 10m以内。
  • 動解を行う場合→繰返し三軸試験,繰返しねじりせん断試験等は、各地層毎または層厚5m程度に1回を標準とする。
16-4トンネル設計
  • 坑口斜面の安定検討および支持力不足の予想される箇所でそれぞれ1~2本を計画する。
  • 断層破砕帯では垂直ないし斜めボーリングを行う。
  • 沢部の土かぶりの薄い箇所では垂直ボーリングを行う。
  • 各坑口部のトンネル天端付近で水平ボーリングを行う。
  • 坑口のボーリング削孔径はφ66 ㎜とし、深度1m毎に1回の標準貫入試験を標準。
  • 垂直ボーリングはトンネル計画高より5m程度深くする。
  • 水平ボーリングは、50m程度を標準とするが、延長の長いトンネルでは地山が安定する位置までとする。(100m~200m程度)
16-5アンカー
  • ボーリングは道路横断方向のアンカー定着部およびアンカー頭部付近の2箇所
  • 調査深度はアンカーの計画深さまたは岩盤の層厚を最低5m確認することを標準。

2015年12月2日水曜日

薄層のモデル化

土木学会「実務に役立つ耐震設計入門」を読んでおりますと、薄層の取り扱いについて留意点が書かれていました(p157)。

地震応答解析で1m程度の薄層をモデル化するか否か?については、以前、書き留めています。
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/03/blog-post_28.html
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/03/2.html
基本的には平面的な広がりを判断すべき、という考え方だとおもわれます。が、解析については別の視点から検討されています。以下の2例で説明されています。

・軟らかいものの中に硬い薄層が入っている場合
・硬いものの中に軟らかい薄層が入っている場合

前者については、応答変位・応答加速度が変わらず、後者は大きく変化する場合があるので注意が必要という結果。これはこれで、一つの判断材料になります。

1・2次元であればモデル化は容易なので、薄層が広がるケース、広がらないケースの両方で検証すれば良いでしょうね。その結果、安全側の設計を取るのも良し、あるいは対策工の金額差と調査追加費を比較し、後者がかなり安くなるようであれば追加調査を行うのも良しでしょう。いずれにしても、お客様の意向を伺う材料までは提示できるわけです。

薄層の問題は地震応答解析だけではなく、基本的な設計にも関わる課題です。地質屋さんの判断が大きく影響する可能性が出てきますので、難しいですが目をそらさずに向き合わなければなりません。