2016年8月27日土曜日

履歴減衰と減衰定数

減衰係数c、減衰定数h、履歴減衰率h、似たような名前です。

減衰係数と臨界減衰係数の比(c/c0)が減衰比=減衰定数hとなっています。が、履歴減衰率hとの関係はなかなか示されていません。

唯一、見つけたのが以下の図書
吉田望「地盤の地震応答解析」p61、式6.2
しかし、式の意味が理解できません。4πはどこから来たのでしょうか?単位合わせで2π、πではダメなのでしょうか?

まだまだ知識が足りません。
はあ、プロが欲しい。

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20200704加筆修正
図書名、ページを修正しました。

2 件のコメント:

  1. たまたま,Webを見ていたらこのサイトが目に入りました。私の本が載っていましたので,責任上,少しコメントします。
    まず,減衰係数という言い方は余りしないと思います。通常,速度比例項で減衰として入れるのは粘性減衰係数でこれを減衰係数と呼ぶことも多いようです。速度項に乗じれば力になるものですから,力/速度の次元を持ちます。これに対して減衰係数は上にあるように,減衰係数と臨界減衰係数の比で,無次元量です。4πの意味がわからないと言うことですが,これは,粘性減衰として1自由度系の定常振動問題を解いたときと,非線形に伴う履歴減衰(粘性減衰はなし)として同じ問題を解いたときの答えが同じになるようにするための係数であり,従って,π,2πでは次元が同じとしても異なります。誘導については,昔自分で計算したものはあったのですが,40年ほど前の話で残っていません。簡単には,例えば,「Kramer, S. L. (1996): Geotechnical earthquake engineering, Prentice Hall, 653pp.」に誘導が載っていますが,4πが必然なんだという事がわかれば,式の誘導は特に必要は無いと思います。
    ここまでは1自由度系の振動の話でしたら,例えば土では地震応答解析に使うのですが,1自由度系の話ではなく,応力-ひずみ関係の話として捉えます。そのとき,エネルギーの吸収に関する指標として,上記Kramerさんの本にはLoss factorというのが載っており,これが減衰定数の2倍として示されています。日本語では,地盤工学会の「地盤工学会室内試験規格・基準委員会(2009):地盤材料試験の方法と解説 訂正第2刷,地盤工学会,1156pp.」に繰返しせん断試験の整理法として,履歴減衰率というのが示されており,これが上記の定義と同じで,従って,分母か2πです。
    ここまで書いてきて不安になりました。私はずっと4πが試験値だと思ってきたのですが,2πとすると問題があるかもしれないというものです。心配になって過去の私の論文,他の人の関連論文も調べましたが,解析面からは4πの方を用いているように思います。これから実験屋さんに問い合わせますが,その結果については,私のホームページ
    https://www.kiso.co.jp/yoshida
    のよもやま話で報告します。
    また,プロが欲しいという事に関しては,大学の先生を利用されるのが良いと思います。私もそうですが,結構沢山相談が来ます。上記程度の話でしたら,特に時間を要するわけでもないので,わかる範囲でお答えしています。先生によっては無視したりする方もいるかもしれませんが,ダメだったら他で,という発想で良いと思います。
    もちろん,仕事に関すること,大きく時間をとられることは有料にしていただきますが,通常,研究費に入れますので個人のお財布に入るわけではありません。という状況なので,コンサルに頼むよりは割安です。

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  2. このようなネットの海の「つぶやき」的投稿に対し、丁寧に御教示いただきありがとうございます。まさか、著者から御教示いただけるとは想像しておりませんでした(講習会での先生の印象より、いたずらの可能性は小さいだろうと判断しています)。


    当時、プロが社内にいるものの面識なく聞きづらい、という状況でした。おそらく、聞いても「わからない」で終わっていたと思います。それがひょんなことから解明するとは。感謝です。

    4πの由来については納得しました。2πとの差異について、HPでの御報告を楽しみにしています。

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