2017年2月18日土曜日

ひずみ・応力の種類

粒子法のテキストを読んでいると、「相当応力」が出てきました。

破壊基準の種類を学んでいたころに知ったと思います。単純に検討できるよう、一軸引っ張り試験の主応力 σ1 に相当する応力に変換したものだったでしょうか?手元の図書を読み返してみると、ミーゼスのせん断応力√J2に帳尻合わせとして√3をかけたものとされていました。

以前、連続体力学を学んだころ、多様な応力名称が出てきました。これは破壊基準絡みでなく、基準配置・現在配置に関与する応力の命名が多かったように思います。例えば次の通り。
コーシー応力σ:現在配置、真応力
第1ピオラ-キルヒホッフ応力P:ツーポイントテンソル、公称応力
第2ピオラ-キルヒホッフ応力S:基準配置

ひずみに関しても同様でした。
微小変形理論では⊿t が微小であれば変位uも微小で、基準配置と現在配置を区別しなくてよくなる、とのことでした(定ひずみ速度載荷による圧密試験でも、関連した内容が基準書で触れられています)。その場合、有限ひずみ E(ラグランジュ - グリーンのひずみ:基準配置)≒e (オイラー - アルマンジのひずみ:現在配置)≒ε(微小ひずみ、工学ひずみ、公称ひずみ、ビオひずみ、コーシーひずみ)とみなせる、でしたね。
https://phreeqc.blogspot.jp/2011/07/2.html
おおよそ、各ひずみが 10%程度までは、概ねその差が小さいとみなせるようです。(ex.土木学会編「計算力学の常識」p99、地盤工学会「地盤の連続体力学入門講習会テキスト」)
伸び変形1%で各ひずみの差が 2.5%程度、というのも上記リンク(「よくわかる連続体力学ノート」p113)に書き残していました。
いずれも、ひずみの定義による相違といった視点と、材料特性の相違といった視点の2種をもって理解すべきなのでしょう。

土質試験では、1軸や3軸圧縮試験で応力:第1P-K もどき、ひずみ:工学ひずみの組み合わせでしょうか。微小変形を前提とした、公称応力-公称ひずみの組み合わせと解釈したいところですが、ここまでは地盤工学会の基準書に明記されていません。
(港湾関係で「破壊時のひずみが 10%以上は棄却」という慣例は、偶然ですがなんとも都合良いですね。)

一方、圧密試験では、地盤工学会の基準書にひずみの名称・区別が明記されています。こちらは大変形を扱いますので、公称ひずみではなく、自然ひずみと記載されています。1次元圧密で直径が変わらないためか応力に関する注記はありません。が、共に現在配置で真応力-真ひずみをイメージされているのだと思います。
(ちなみに、基準書によればテルツァギーの1次元圧密の式に出てくるεも現在配置の自然ひずみ(真ひずみ)だそうです。)

そうすると、dε=mv ・dσ' などの mv を使う関係は、すべて現在配置:真応力-真ひずみで揃えないといけないのでは?などと思うわけです。

そうすると、土質工学会「地盤工学における数値解析の実務」p118 の図-4.8 に示されているように、E50 から推定した E と、mv から推定した E を同一に扱ってよいのか?という疑問が出てきます。
https://phreeqc.blogspot.jp/2016/07/2.html
以前、講習会で示された圧密試験の例では、公称ひずみと自然ひずみの差が20%程度異なっていました。当然、それから算出する mv、E も20%程度異なっていると考えられます。ま、図4.8では材料のばらつきに埋もれそうですが。

取り留めないの無い話になってしまいましたが、応力・ひずみの定義は種類が多く、まだまだ理解が足りない、具体例ではよくわからない箇所がある、といったところが正直な感想です。

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