2017年3月28日火曜日

観測孔の遮水

以下の文献を読んでいました。

白石「地下水調査と地下水流動解析の高度化に関する研究」

簡単な数値実験をもとに、水位観測データの解釈をされています。
特に興味を惹かれる内容はなかったのですが、1箇所だけ脅された文章がありました。

「5.1.1 地下水位観測の高度化」にて、単孔式の地下水位観測孔の注意点が示されています。その中で、背面遮水は「全層遮水が望ましい」とあります。塩ビと孔壁間の遮水を全区間行った方が水位への影響が少ないといった内容です。根拠は 5m 程度の観測孔をモデル化した数値実験でした。

最初は驚きましたね。今まで気付かないうちに失敗していたのかな、と。

よく読むと、遮水部の長さに偏りがあります。計算ケースは0.1、0.6、1.1、4.9m の4種。で、1.1mでは10cm以上の水頭差があるので、全区間遮水(4.9m)がお勧めという結果。なぜ、1.5、 2.0、2..5 と続けて刻まないのでしょうか?
しかも、水頭は地表以上になっています。つまり、ストレーナー上部で遮水をいくらしようが、地表付近を遮水しない限り観測値に影響が出るモデルなのでしょう。自噴する井戸の遮水を考える場合にどうするか、ということを前提とされていたのかもしれません。脅かされました。

地盤工学会の基準では遮水区間 50cm 以上です。個人的には施工時の安全率をかけて 1~2m 程度設けています。ま、先の結果を見る限り、1~2mで十分なように思えます。

砂利やペレットを現場で綺麗に充填するのは、結構難しい作業です。そのあたりの検討や経験・ノウハウの公開の方が、地下水調査の高度化に直結すると考えます。
単純な解析も必要ですが、それだけでは高度化は望めないでしょう。


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