2017年4月10日月曜日

地下水のトリチウム濃度

地盤工学会の基準書を眺めていますと、「第7編 地下水調査」の最後に、「同位体による地下水の流動調査」について記載があることに気づきました。

恥ずかしながら、ここまで読んだのは初めてです。
基準化には至らない、近年の動向についてまとめられているようです。先日利用した温室効果ガスの利用について触れられていますし、δ18Oの解釈例についても掲載されいます。後者のような利用法があるとは知りませんでした。今後の参考にしましょう。

「(3)評価 a)温暖化ガス」の中に以下の文言があります。
特に近年では降水中のトリチウム濃度が低下しており、トリチウムによる定量的な滞留時間の評価が困難となってきているため、トリチウムと同程度の滞留時間を評価できる方法として期待されている。
トリチウムが使えなくなってきていることは、数年前に書き残しています。
https://phreeqc.blogspot.jp/2011/06/dating-of-groundwater.html?m=0

理由として、この文献の図が分かりやすいと思います。
Plummer, L.N., Böhkle, J.K., and Busenberg, Eurybiades, 2003, Approaches for ground-water dating, in Lindsey, B.D., Phillips, S.W., Donnelly, C.A., Speiran, G.K., Plummer, L.N., Böhlke, J.K.,
Focazio, M.J., Burton, W.C., and Busenberg, Eurybiades, Residence times and nitrate transport in ground water discharging to streams in the Chesapeake Bay Watershed: U.S. Geological Survey Water-Resources Investigations Report 03-4035, p. 12-24.
https://water.usgs.gov/lab/chlorofluorocarbons/research/chesapeake/gwdating.pdf

トリチウム濃度については、福島の原発事故でどうなったかな?と気になっていたところですが、調べてみると↓にありました。変化ないですね。
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Top2/849/123/H26nenpou2,0.pdf


トリチウムに替わるのが温室効果ガス。
自然の地下水流動を守るために、ヒトの汚染物質を利用するというのは、なんとも皮肉なものです。

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