2017年9月27日水曜日

地盤沈下観測等における衛星活用マニュアル

「地盤沈下観測等における衛星活用マニュアル」 平成29年3月 環境省水・大気環境局

SAR を使った広域観測に関するマニュアルです。実務に取り入れられるのはまだ先かと思っていましたが、すでにマニュアル化されていました。私のような初心者にもちょうど良いレベルになっています。ありがたい。
意外と内容が面白く、一気に読んでしまいました。以下、備忘録です。
p27
ALOS-2 は、非常に高い精度で軌道の調整を行っているため基線長は 500m以下に抑えられており十分に短く、どの組合せでも高い干渉性が得やすいため、ほとんど全 ての観測された衛星データで干渉 SAR解析を行うことができる
p28
ALOS-2 の場合、1ペアの干渉 SAR 解析の2つの 衛星データの間隔は、3 年未満とすることが望ましい
p28
解析に用いる衛星データの選定にあたっては、データ観測時間帯の気象条件、特 に降雨データ(X バンド降雨データ)などを確認し、降雨が確認されれば解析対象デ ータから除外することが望ましい。また、用いる場合は解析精度が悪化しやすいこと に注意する必要がある。
p37
ALOS-2 では、処理レベル 1.1 データ(SLC:Single Look Complex)を入手
p65
ALOS-2 と Sentinel-1 を地盤高の観測に用いた場合の長所・短所

雲の有無に左右されないと聞いていましたので、降雨にも大きく影響されないのではと漠然と考えていましたが、そうではないようです。マニュアルに書かれていますので、やはり経験上よくなかったのでしょう。(先日、データを購入したのですが、確認すると1シーンのみ数時間前に降雨がありました。)

Sentinel-1 に関しても書かれています。
実施例では C バンドにもかかわらず、意外と変位量を把握できているように見えます。沈下は都市域の問題だからでしょうか?
esa のサイトでシーンを検索てみました。が、ALOS2 と同様に2014年以降しか引っ掛かりません。古いデータが安価で手に入ると、過去の変動を多量に処理して把握できるかと思ったのですが。残念。ま、近年のデータがあれば、ALOS2 との比較はできます。山中や広いグラウンドなど、都市域以外でどこまで把握できるか知りたいですね。

あと、InSAR は初歩で、そのスタッキング処理、2.5次元解析までの実施がマニュアル化されています。これ、重要ですね。
試行したことがあるのは 最初のステップのみ。スタッキング処理、2.5次元解析までできて当たり前、といった感覚なのでしょうか?早急にスタッキング処理だけでもクリアーしたいですね。

InSAR では多くの実施例を見かけるのですが、すべて広域です。七五三掛の例でも1km弱。解像度は3mと十分に高いので、色のつながりを見るにしても、もっと狭い範囲の変動を把握できないかと期待しています。
今後の動向としては、3次元解析はもちろん、過去にさかのぼったり、上記のように狭い箇所に着目したりする、などでしょうか?
今後の動向に着目しながら、早く現状に追いつきましょう。


2017年9月24日日曜日

ジオリファレンサーで位置合わせできない QGIS2.14

QGIS で踏査結果をまとめようとして、また躓きました。

踏査で使った地図をラスターで貼り付けたいのですが、できません。ジオリファレンサープラグインでラスターを読み込み、位置を「マップキャンパスより追加」するのですが、まったく違う位置に張り付きます。

違う PC でもダメ。
手法を変えてもダメ。

晩ご飯を食べた後、もしやと思い画像を反転させてからポイントを追加してみると、、、
できました。
移動や拡縮は容易にできるようですが、回転は得意でないのでしょうか?今回、ほぼ180度回さないといけなかったので、うまく機能しなかったようです。北が上になるように画像を調整してからジオリファレンサーで位置合わせ、といった手順になります。今まで使ったソフトに比べてクセがありました。

使っていると、まだまだ出てくるのでしょう。ひとつづつ、クセを覚えていきましょう。

2017年9月23日土曜日

air lift method

簡易索道を張ってもらった若い助手の方にコンプレッサーを借りていました。

それを使って、エアリフト法による孔内洗浄をテストしました。結果は上々。
15mくらいの孔内水位でも汲み出すことができました。

その結果を助手の方に報告していたのですが、横からオペさんが「昔はよくやっていた」と入ってこられました。

2人で「え?!」と驚き。
「エアリフト」という言葉は知っていましたが、その知識と映像、具体的手順が結びついたのがつい最近。しかもUSGSのサイト。「海外では豪快な洗い方をするなあ」と思っていた程度です。
https://www.usgs.gov/media/videos/usgs-groundwater-monitoring-well-redevelopment-using-air-lift-method
https://water.usgs.gov/ogw/video/gwpd.html

オペさん曰く、日本でも「さく井では昔から実施している」とのこと。昔は会社でも井戸掘りの仕事を多く請け負っていたそうで、大型のコンプレッサーを持ち込んで実施されていたそうです。圧をかけすぎるとVPが割れるので注意が必要とか、VP100を入れるべきところをVUを入れてしまい、割って掘りなおした先輩がいるとか、教えていただきました。
この応用で、「エアリフトポンプ」といったものがあるということも御存知でした。井戸掘りを多く請け負っていた支店では複数台所有していたとのこと。もっと早く知りたかったですね。

伝承が途切れていた技術でした。危ないですね。
ひとまず、ノウハウをお持ちの方が身近にいたというこがわかりました。

2017年9月22日金曜日

簡易索道 その2

簡易索道でボーリング資材を搬入していただいています。

ポイントとの通りに良い立木がなく「難しいかな?」と思っていたのですが、オペさん「楽勝です」とのこと。

実際見てみると、三又などをうまく活用して搬入されていました。確かに、難なく作業されていましたが、私には無理。何度も経験してノウハウを身に着けていないと、現場で「楽勝です」なんて言えないと思います。感謝です。

若い方々は見たこともないでしょう。そうなると、計画もできません。災害対応もあるので現場に引き連れてくる時間はありませんが、今回の搬入方法を写真や動画で残しておき、あとで教育に使うことにしましょう。

とにかく、オペさんに助けていただき、感謝、感謝の1日でした。

2017年9月21日木曜日

ReCap Photo

台風18号による被災写真を Recap (photo) に投げ込みました。

できたモデルを表示しようとすると、以下の情報が表示されました。

写真プロジェクトの作成は処理機能が強化された新しい ReCap Photo ™ に移行します。 詳細は、ここをクリックしてください。

3か月くらい前に使用した際には表示されていなかったように思います。

内容を見てみると、いくつかの変更点がありました。気になったのは以下の2点。
・使用できる写真が1000枚に増えた
・ReCap pro のサブスクリプションにバンドルされる
長い時間・コストをかけて実用に耐えうる機能を実装したので、有料にしますよ、ということでしょうか?

従来の Recap (photo) でも、細々した仕様変更がありました。
e-mail で招待し、モデルをシェアできるのは以前からでしょうか?知りませんでした。

一般的な測量でも UAVが 使われだしています。SfM の精度向上を求め、メーカーさんは努力されていることでしょう。
まだまだ仕様変更は続くと思われます。ついていきましょう。

2017年9月18日月曜日

QGIS で 走向傾斜 その2

QGIS で 走向傾斜のシンボルを DXF へ変換した際、歪んでしまう件の続きです。https://phreeqc.blogspot.jp/2017/08/qgis.html

新たな情報を探しているうちに、以下の情報が引っ掛かりました。プリントコンポーザにて SVG や PDF 出力に対応しているとのこと。
https://docs.qgis.org/2.14/ja/docs/user_manual/print_composer/overview_composer.html

そういえば、Civil3D も 2017 から PDF のジオメトリ読み込みに対応していました。
試してみると、DXF 経由ではないので座標やスケールは飛びますが、読み込み自体はOK。歪まずに Civil3D へ取り込むことができました。(Civil 側にて取り込み時のスケール設定はあるのですが、まだよくわかりません。)現段階ではこのあたりが落としどころでしょう。

GIS を使って少し作業を進めると、ラインの表記が楽になったと気づきました。これ、Arcを使われている先輩が、大昔に言われていました。
遷急線や flow line 等のラインが折れていても、等間隔で破線や進行方向のマーク(マーカーライン)を表示してくれます。小崩壊頭部の ┬┬┬ マークも綺麗に並んでくれます。欲を言えば、┬┬┬  のケバが自動で崩積土の範囲まで伸びてくれたら大きな崩壊にも使えるのですが。ま、これはCADと同様、手作業です。

当面は QGIS でルートマップを作成し、Civil3D + GEORAMAで 3次元分布を考慮した地質図を作成することになるでしょうか?
もう少し触ってみましょう。


2017年9月17日日曜日

縦断図 測点間隔の変更(Civil3D 2017)

弾性波探査で、逆解析に遠隔の情報を取り入れたいと考えました。

地形は広域の3次元データ(LP)になっているため、任意のピッチで地盤高を把握することができます。探査測線上は既に Civil3D で線形を設定し、縦断を切っていますので、あとは遠隔まで線形を伸ばし、5mピッチで高さを表示させるだけです。

計画も現地盤もサーフェスから縦断に取り込んでいますので、レポート機能が使えません。今回は以下の手順としました。

①既存の線形を複写し、端部を 50m 延長。
 この時点で縦断図も複写され、延長されます。
②開始測点を-0+50に設定。
 線形を選択し右クリック - 線形プロパティ - 測点 -0+50
 縦断図で複写前の地盤高と見比べる。ずれていなければOK。
③縦断図の測点表示を5mピッチに変更
 縦断図を選択し右クリック-縦断ビュープロパティ
 「情報」タブ - オブジェクトスタイル - 現在の選択をコピー、リネーム
 必要により表示する標高を「標高」タブで変更
 右クリック - 縦断ビュースタイルを編集
 「水平軸」- 副ティックの詳細 - 間隔:5.00m

サーフェスから作成した縦断の測点毎の地盤高を、テキストに吐き出す方法までは思いつきませんでした。ひとまず、これで先に進みましょう。


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おまけ1
 線形に測点ラベルを付ける場合
 線形を右クリック-線形ラベルを編集
 主測点 追加:100m
 副測点 追加:5m

おまけ2
 測点ピッチにかかわらず、縦断図内の地形や計画ラインの折れ点で高さを抜きたい場合は以下の通り(235の技の125番目に詳細が書かれています)。安定計算などではこちらの方が良いでしょう。
 縦断図内の地形線等を選択し右クリック - 「縦断ジオメトリを編集」
 縦断レイアウトツール - 縦断グリッドビュー


2017年9月16日土曜日

異なる座標系の重ね合わせ ( Civil3D 2017 )

後輩君たちが GPS をもって踏査に向かいました。

帰社後、トラックデータを CAD に取り込みたいが「わからない」とのこと。私も数年前に悩んでいた事項です。座標系、覚えましょうね。
https://phreeqc.blogspot.jp/2011/12/exifcad.html
https://phreeqc.blogspot.jp/2016/08/civil3d-2016.html

数か月前、基盤地図情報GML を Civil3D 2017 で取り込む際には、以下の手順としました。

①座標系の確認
 DL したファイルの座標系を確認します。この時は JGD2011/(BL) でした。
②「計画と解析」ワークスペースに切り替え
③「挿入」タブ-「マップを読み込み」でXML指定
 入力座標系を LL-JGD2011-ITRF94 or 2008 に指定
  http://club.informatix.co.jp/?p=998
 ※プロファイルを保存しておけば、次から楽です。

最近は GIS でも CADでも、座標系を持っているデータをもらったり扱ったりすることが多くなりました。データが座標系を意識して作成されていると、位置合わせの手間が省けます。楽です。
中には座標系を持っていない、わざと外しているデータ(設計データが多い)をもらうことがあるのですが、「わざわざ面倒なことを」と思ってしまいます。座標系を扱えない CAD を使い続けていらっしゃるのかもしれません。

後輩君たちも、座標系や GIS について学ばざるをえなくなったと思ったようです。CIM の基礎・基本でもありますので、身に着けておきましょう。

2017年9月13日水曜日

VisualSPHysics

DualSPHysics の miner update が夏ごろ、と記憶していたのですが、一向に上がりません。

記憶違いだったか?などと思いながらHPを見ていて気付きました。
VisualSPHysics が公開されています!!!(ついでにGUIも!)
http://visual.sphysics.org/

Blender のアドオンで、結果の取り込みができるようになったとのこと。期待していた機能です。

早速チュートリアルを、と思ってページを追いかけると、まだ準備中。11月のワークショップ向けて準備されているのかもしれません。

それでも簡単な使い方は掲載されていますので、試してみることに。
http://visual.sphysics.org/wiki/doku.php?id=how_to_use_visualsphysics
Windows 版はバイナリが配布されていますので、DL した ZIP を Blender から指定するだけです。これでアドオンとして認識されます。
計算結果の取り込みは、VTKを一つ指定するだけ。タイムステップの最初と最後は自動で認識してくれます。取り込む際に以下の項目を設定するように書かれていますが、Blender が何を欲しているのかわかりません。素人ですので。
  • Object Type select Fluid Object for fluid isosurfaces and Other Object for floating or static objects.
  • Smooth Shading enable or disable the smooth shading.
  • Validate Mesh enable it if you detect artifacts on the fluid surface.
  • Transfer UV Maps enable it if you use textures for the floating objects.
オブジェクトとして取り込んだ後は、適当にマテリアルを触って動画にするだけ。情報は web 上にあふれていますので、すぐに手順はつかめました(私の環境だと動画にする際になぜか落ちますが)。

結果がこちら。8番目のサンプルの計算結果を動画にしたものです(画質は落としています)。



うーん。
レンダリング時に飛沫まで描いてくれたらラッキーなどと思っていたのですが、甘くないですね。指定した最低限のことを忠実に返してくれました。
Blender に慣れていないと、光と影のつけ方、水の透明感や反射など、細かな設定はできないですね。というか CG に関して素人なので、どのパラメータが何に影響して、どこをどの程度触ればよい、などといった基礎知識・ノウハウ共に有していません。素人には手に負えない分野です。

Max に書き出せば、CG部門の先輩に頼めるかな?と思いましたが、エラーで書き出せませんでした。やはり Blender を勉強しないと、そこそこの CG はできないようです。
うーん、ひとまず保留。

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20170918追記
泡沫をつけました。
https://phreeqc.blogspot.jp/2017/09/adding-foam-in-blender.html

VisualSPHysics のチュートは、昨年のワークショップの PDF に入ってますね。私が公開を見逃していただけかもしれません。
http://dual.sphysics.org/2ndusersworkshop/2016/Crespo_PPT_2ndUsersWorshop_POST_2PDF.pdf

20171001追記
関連文献を読みました。DualSPHysics の結果(形状)に応じて粒子(泡や飛沫)をBlender内で発生させ、動画にされています。python で制御するか、開発中?の"DualSPHysics foam Simulation" を待たないと、Youtubeにアップされているような動画は作れないようです。

2017年9月11日月曜日

Geotechnical Module for Civil 3D 2018

GEORAMA 2018 の Ver.UP案内がやってきました。

最近は設計者からも「地質はGEORAMAをつかうのでしょ?」と言われるくらい、CIM 試行で有名になったようです。

個人的には GEORAMA を使い続けていますが、「仕方なく」といった状況です。
https://phreeqc.blogspot.jp/2013/12/georama.html
未だに線形に曲線部分があると断面は作成できませんし、簡単なバグや不具合が見つかる状態です(2018でいくつか改善されましたが)。使い勝手も良いとは言えないのでお勧めできるソフトではありませんが、これしか CAD ベースの3次元地質分布推定ソフトを知らないため、仕方なく使い続けている状態です。

先日も GEORAMA 脱却を目指し、代替ソフトはないかな?などと探していたのですが、どれもイマイチ。ないですね。
ちょうど月末に IDS-P から AEC-C に乗り換えようかと思っていたところですし、仕事もひと段落するので、このタイミングですべて 2018 にアップしましょう、と腹をくくりました。

Civil3D 2018 の新機能を見ていたところ、Geotechnical Module for Civil 3D にて機能追加があったようです。Fence Diagram ができるようになりました。
https://forums.autodesk.com/t5/autocad-civil-3d-forum/may-17-webcast-what-s-new-in-the-geotechnical-module-for-autocad/td-p/7062538


動画を見る限り、GEORAMA で対応していない平面線形の曲線部分に縦断を配置できているようにみえます。これ、可能なのでしょうか?直線を細かく折り曲げているだけのようにも見えますが、これができるとなると、こちらを使いたくなります(面生成は相変わらず粗いままですが)。
また、ボタン一つでパネルダイアグラムに厚みを持たせてくれるようですので、3Dで出力するだけで Infraworks に取り込めるようです。この機能もいいですね。上物とパネルダイアグラムの組み合わせが、きれいに見えます。

お客様の要求レベルはこちらが思うより低いことが多々あり、目的によってはこの程度の面の粗さでも納得される場合があります。そうなると、GEORAMA でなくGeotechnical Module for Civil 3D で十分です。
2018をインストールしたら、こちらのモジュールも試してみましょう。

2017年9月10日日曜日

CIM の費用

最近、CIM(Civil Information Modeling) に関心を持たれたお客様から、費用についての問い合わせが増えました。

お客様の中には、初めて実施する、漠然と流れに乗る、詳細はあまり理解されていない、といった方が多くいらっしゃいます。3次元可視化 = CIM と思われているお客様や技術者もまだまだ多いと思います(地質の場合、解析に供する場合を除き、現段階では可視化だけとみなしてもあながち間違いではありません)。
手持ちのデータを示していただき、利用目的をお伝えいただければ容易に費用を回答できるのですが、なかなかそうはいきません。そういった方々に確認している点は、以下の通りです。

①目的(精度の確認)
・設計施工に使うのか?(mmオーダー)
・住民説明会などで見せるだけ(可視化だけ)か?(数10cm~mオーダー)
当然、設計施工に利用する方がグッと手間になります。

②時系列(モデル作成数)
・施工段階を区分して作成するか?
・完成形のみでよいか?
掘削段階などのモデル化は数値計算と同様です。数を増やすだけ手間です。
仮設の数量、施工での取り合い等を考える場合には、設計者の協力が必要です。

③既存データ
a)地形
・高さを持ったデータはあるか?(DXF、LPデータなど)
これらがなければ現状の2次元図面から起こします。山中はコンターに高さを与えるだけなので楽なのですが、街中なら既存構造物のモデル化に時間を取られますので、場所や範囲の確認も必要です。

b)地質
・地質縦横断図CADデータ
・地質平面図CADデータ(ルートマップ、踏査写真含む)
・柱状図XMLデータ
地質平面図がない場合が多いですね。パネルダイアグラム作成までなら地質平面図は必要ないですが、サーフェス・ソリッドモデルを作成するなら必要です。不足している場合は、地表地質踏査が必要になります。見せるだけなら踏査せず、適当に作ることも可能です。
既存柱状図もXMLでなく、紙だけとか断面に張り付けられているだけとかの場合が多いですね。その場合、データ打ち込みが必要になるのですが、数が多いと手間です。

なお、これまでの経験では、地質平面・縦横断図の整合性が取れていない、とれていてもおかしな3次元形状(すべり面が波打つなど)になる場合が100%です。それは大企業の成果でも地元の小さなコンサルさんの成果でも同様です。2次元ベースで図面を作成している以上、誤っている部分は必ず残るようです。それは技術者の実力不足の場合もあれば、人の空間把握能力の限界の場合もあるようです。従って、地質屋が地質分布の整合性を確認・修正しながら3次元化する必要が出てきます(CAD屋さんでは難しい作業となります)。
https://phreeqc.blogspot.jp/2013/12/georama.html
地質屋さんでも、与えられた地質断面等を絶対としてモデル作成に着手し、ずいぶん進めてから「あっていない」「手戻り作業になる」と戸惑う方もいらっしゃいます。今後、設計施工にかかわる箇所で齟齬が生じた場合、だれがどこまで遡って修正するかは課題になるでしょうね。

c)設計
・2次元設計図しかないか?3次元データはないか?
・道路中心線形XML
今まで、設計データが3次元化されていたことはありません。3次元でとお願いしても、2次元で設計されます。外形だけなら私でも3次元化できるのですが、今後、CIMを謳う以上は対応できる技量を設計者にも身に着けて頂かないといけません。

④成果品(必要とされる output )
・CADデータ
 ・パネルダイアグラムまで?
 ・サーフェス、ソリッドモデルまで?
・XML(測量機器や無人化施工機への流用)
・動画
・模型(3Dプリンター)
・AR、VR
必要な output によって準備・使用するソフトが異なります。まだサーフェスモデラーとソリッドモデラーの差は大きいようです。地質のソリッドを求められた場合には、現段階では2つ以上のソフトで成果品を提出するしかないでしょう。
https://phreeqc.blogspot.jp/2015/04/blog-post.html


今まではこれらを一人で対応していたのでが、部署ごとに見積作成担当者のような割り振りができつつあります。確認から費用算出に至る効率は悪化しましたが、将来性や知識・意識の底上げという視点では、改善されたと考えましょう。設計者も関心を持ち始めましたので、3次元設計が始まれば面倒が1つ減るのでありがたいです。

CIMによる効率化というのは後工程だけで、設計段階ではフォワードローディングによる作業増が現実だと考えます(ミスに気づきやすくはなると思います)。ソフトウェアベンダーに担がれている感は多々ありますが、ユーザーが広がることで現実が見えてくるでしょうし、正しい認識も自ずと定着するでしょう。
今後、業界全体でCIM 利用の経験が蓄積すれば、価格と(維持管理段階までの)事業全体の効率化のバランスをお客様が正しく判断することができるようになるでしょう。
ま、今はそれに至る通過点と思って、コツコツ確認しながらでも対応していきましょう。

キノコと深層学習

山に入ると、いろいろな動植物に遭遇します。

「山の民」ではなく「平地の民」として育ったので、動植物については詳しくありません(石に詳しいのがアンバランスでしょう)。

それでも、ある程度は分かるようになりました。
ここ1か月半で遭遇した動物は、ウリ坊、キジ、キツツキ、ヤマカガシ等。
昆虫はナナフシ、コクワガタ、ハチ(ミツバチ、クマ蜂、足長バチ、スズメバチ)等。

キノコもたくさん生えていました。が、これは全く分かりません。
たまにおいしそうなキノコを見るのですが、調べてみるとすべて毒キノコだったりします。学生の頃に実習で採取・分類し、鍋にした記憶はあるのですが、種類は全く覚えていません。ま、山にきれいに残っているのは動物も食べないものなので毒キノコだろうとツンツンしながら通り過ぎます。一方、喜んで持って帰られる地質屋さんも過去にいらっしゃいました。うーん、知りたい。

何か簡易に判定できる方法はないのでしょうか?
あ、これこそ Deep Learning の出番でしょう。見た目だけで判定するので、この前の岩石判別で試行した WEB 経由システムをそのまま利用できます。
よく考えると、動植物の図鑑全般が対応できそうですね。将来的には Deep Learning を利用した検索システムとセット販売される形態になっていくのでしょうか?
そういえば、昨日のNスぺでは台風の進路をAIで予測するような内容が紹介されていましたね。どの分野もビッグデータを活用できる(システムを作成できる)技術者、必須になってしまいました。

とりあえず、キノコ判別システムが欲しいですね。キノコ学会?(あるのかな?)作ってくれないですかね。

2017年9月9日土曜日

アイスプライス

私が荷締めに使用していたロープを、オペさんが見られていたようです。

昨日、近づいてこられて一言。
「これ、覚えてたらいいですよ。一生もんだから」

教えていただいたのは、ロープの端部を輪にして編み込む方法。調べてみるとアイスプライスというようです。

1回ではわからなかったのですが、聞きながらやり直すと、できました。
そうなると、もう一つ作ってみたい。で、もう一方も編み込み。
完成したのを見ると、微妙に形がおかしい。もう一度やり直すと綺麗にできました。まだ完全には身についていないようです。荷締めロープを新調するころになると、忘れているでしょうか?練習しないと。

いずれにしても、わざわざ声をかけて教えていただけることは、ありがたいです。感謝です。

2017年9月7日木曜日

P波検層 その4

その3から約5年、切土のボーリング調査ではP波検層(板たたき)を実施するのがデフォになりつつあります。https://phreeqc.blogspot.jp/2012/12/p-3.html

P波だけなら比較的短時間で手軽に測定でき、土軟硬区分にも客観的な情報となるため、お客様には御依頼いただかなくても自主的に実施しています。その場合、全深度にこだわらず、部分的に実施するスタイルが多くなります。ケースを挙げる前に深い深度、挙げてから浅い深度、という部分実施も可能となります。

昔のピックは正常作動しており、当時の先輩方が自作・使用されていた変換コネクターも出てきました。ゴムを膨らませる水押しポンプが壊れていたのですが、自転車の空気入れを加工して接続し、空気圧で膨らませる仕様に変更しました。
また、コネクターも新たに作成し、OYO さんの HandyViewer SEISMOGRAPH Model-1816 でも測定できるようにしました。こちらだと機材が軽く、後処理もすべて EXCEL で可能です。が、現場でのデータ保存が少し手間。現場のことを考えると、Mcseis-SXW を選択してしまいます(残念ながら、5年の間に Mcseis-SX が修理不能になってしまいました)。

今日、コアを広げながら検層結果を見比べていたのですが、まだまだ「この岩なら○○km/s」と感じていた値とは微妙に異なる状況です。
その話を先輩にしていると、みなさん独自の感覚をお持ちで「いやいや、この岩なら・・・」「軟岩IとIIの境界がだいたい1.2km/sec」などと盛り上がりました。昔の方は皆、御自分で計測され独自に感覚を身につけられているのでしょう。それが自信となっているように感じます。

「当たらずと雖も遠からず」ではなく、自信をもって正解を答えられるようになりたいですね。もっと精進しましょう。



2017年9月6日水曜日

InSAR

「地すべり監視のためのSAR干渉画像判読マニュアル」について書き残して既に6年が経過しようとしています。
https://phreeqc.blogspot.jp/2011/10/sar.html

その後、大きな地すべりや地震災害については干渉画像が作成され、公開されてきました。現在、その結果はタイル化・配信されています。

残念ながら、実務では浸透していないようです。衛星データですのでスケールの問題が大きいと思うのですが、画像の種類や精度について調べたわけではないので、正確なことはわかりません。地すべりや深層崩壊では GB-SAR や航空機 SAR の使用例が報告されていますので、今後普及するかもしれませんね。手法については理解しておきたいところです。

web 上では SAR の処理ソフトについて複数の情報が得られます。
その中の一つを使って 干渉画像を作成してみたのですが、操作自体は以外に簡単でした。が、何の処理をしているのかわかっていない箇所が若干ありました。いけませんね。

地形測量や変動量把握に関して LP、UAVと続いたイノベーションが、今後、SAR に進むかもしれません。それほど難しい理屈・手順ではなさそうですので、今のうちに理解し、備えておきましょう。

2017年9月3日日曜日

地理院タイル

地理院タイルを利用できるソフトが増えてきました。

老舗のカシミール、新しいところではInfraworksでしょうか。GIS関連も数年前から対応してきています。地理院地図パートナーネットワークでは、多くの企業が地理院地図やタイルに対応したソフトの開発状況を報告しています。
http://ccpn.gsi.go.jp/

ただ、表示だけは簡単なのでしょうが、さらなる機能を有しているものは、まだ多くありません。例えば、表示域に該当するタイルだけを選択・表示してくれるとか、オフライン用に保存しておいてくれるとか。基本、WMTS なのでオンラインが前提なのですよね。

地理院だけでなく、他の機関も WMS, WMTS に対応したデータを公開しつつあるようです。おそらく、web に載せて公開したうえで、一般も利用できるように情報提供しているのでしょう。個人的には、1/5万地質図幅のタイルを早く整備し終わってほしいですね。

今後、利用者が増えると、ユーザビリティ向上や3次元表示の段階へ進むでしょう。1つのソフトやサービスで手軽に目的を実現できるよう、メーカーの技術開発に期待したいと思います。