2017年9月27日水曜日

地盤沈下観測等における衛星活用マニュアル

「地盤沈下観測等における衛星活用マニュアル」 平成29年3月 環境省水・大気環境局

SAR を使った広域観測に関するマニュアルです。実務に取り入れられるのはまだ先かと思っていましたが、すでにマニュアル化されていました。私のような初心者にもちょうど良いレベルになっています。ありがたい。
意外と内容が面白く、一気に読んでしまいました。以下、備忘録です。
p27
ALOS-2 は、非常に高い精度で軌道の調整を行っているため基線長は 500m以下に抑えられており十分に短く、どの組合せでも高い干渉性が得やすいため、ほとんど全 ての観測された衛星データで干渉 SAR解析を行うことができる
p28
ALOS-2 の場合、1ペアの干渉 SAR 解析の2つの 衛星データの間隔は、3 年未満とすることが望ましい
p28
解析に用いる衛星データの選定にあたっては、データ観測時間帯の気象条件、特 に降雨データ(X バンド降雨データ)などを確認し、降雨が確認されれば解析対象デ ータから除外することが望ましい。また、用いる場合は解析精度が悪化しやすいこと に注意する必要がある。
p37
ALOS-2 では、処理レベル 1.1 データ(SLC:Single Look Complex)を入手
p65
ALOS-2 と Sentinel-1 を地盤高の観測に用いた場合の長所・短所

雲の有無に左右されないと聞いていましたので、降雨にも大きく影響されないのではと漠然と考えていましたが、そうではないようです。マニュアルに書かれていますので、やはり経験上よくなかったのでしょう。(先日、データを購入したのですが、確認すると1シーンのみ数時間前に降雨がありました。)

Sentinel-1 に関しても書かれています。
実施例では C バンドにもかかわらず、意外と変位量を把握できているように見えます。沈下は都市域の問題だからでしょうか?
esa のサイトでシーンを検索てみました。が、ALOS2 と同様に2014年以降しか引っ掛かりません。古いデータが安価で手に入ると、過去の変動を多量に処理して把握できるかと思ったのですが。残念。ま、近年のデータがあれば、ALOS2 との比較はできます。山中や広いグラウンドなど、都市域以外でどこまで把握できるか知りたいですね。

あと、InSAR は初歩で、そのスタッキング処理、2.5次元解析までの実施がマニュアル化されています。これ、重要ですね。
試行したことがあるのは 最初のステップのみ。スタッキング処理、2.5次元解析までできて当たり前、といった感覚なのでしょうか?早急にスタッキング処理だけでもクリアーしたいですね。

InSAR では多くの実施例を見かけるのですが、すべて広域です。七五三掛の例でも1km弱。解像度は3mと十分に高いので、色のつながりを見るにしても、もっと狭い範囲の変動を把握できないかと期待しています。
今後の動向としては、3次元解析はもちろん、過去にさかのぼったり、上記のように狭い箇所に着目したりする、などでしょうか?
今後の動向に着目しながら、早く現状に追いつきましょう。


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